アトピー性皮膚炎は遺伝すると
よく聞きますが、実際はどうなのでしょうか?
ネットを検索すると
片方の親がアトピーだと2倍、両親だと4倍・・・
片方の親がアトピーだと30%、両親だと50~70%・・・
といった記載がありました。
こんな数字を見てしまうと
子供にアトピーを遺伝させないためにはどうすればいいのか
真剣に考えてしまいますね。
しかし、実際のところアトピー性皮膚炎が遺伝するというわけではなく
アレルギー体質やアトピー素因※が遺伝するということのようです。
※アトピー素因とは
気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎のうちいずれか、または複数を自分自身や家族がもっていること。
遺伝子解析の結果、遺伝的な要因として、皮膚のバリア機能遺伝子や免疫関連遺伝子が関与していることがわかっています。それほど強い遺伝ではありませんが、アトピー性皮膚炎が両親から子供に遺伝する場合は、こうした体質が遺伝するためと考えられます。
医師の視点で考えるアトピー性皮膚炎より
今から50年前の日本ではアレルギーは
ほとんどありませんでしたが
現在では国民の2人に1人が何らかのアレルギーを持っている
といわれています。
その原因として空気の汚染や
密閉された室内でのダニやカビの発生
化粧品や食べ物からの化学物質
衣類などからの繊維くずなど
私たちは常にアレルゲンと一緒に暮らしています。
このような現状を考えると
アトピーになりやすい子供は
これからも増え続けていきそうな気がしますね。
また、アトピー性皮膚炎だけでなく
複数のアレルギー疾患をもつ子供も増えており
乳幼児期のアトピー性皮膚炎を始まりとし、続いて食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎と次々と異なる時期に出現してくることが多く、これを「アレルギー・マーチ(atopic march)」と呼びます。
国立成育医療研究センターHPより
一方でアトピー素因を遺伝していても
発症を抑制できる可能性があるという報告も見られました。
理化学研究所の発表した研究では
アトピーを発症する可能性のある未発症の皮膚に
ワセリンを塗り皮膚のバリア機能を補強することで
アトピーの発症を予防することができる
可能性があると報告されています。
出典:理化学研究所HP(アトピー性皮膚炎モデルの原因遺伝子を解明-JAK阻害剤または保湿剤でアトピー性皮膚炎を予防-)
アトピーの発症は多くが生後3か月以降なので
それまでのケアをしっかりとしておけば
発症を抑えられるかもしれないというのは
知っておいて損はない情報ですね。
私も知っていれば・・・と思ってしまいます。